利根川上流には首都圏の水を支える8つのダムがあり、矢木沢ダムをメインに利根川流域1都5県へ利水補給を行なってきましたが、太平洋高気圧の勢力が衰えず台風も来ないまとまった雨も降らないために、とうとうダムの貯水率が大幅に低下してしまいました。
関東地方整備局は、今夏の少雨により利根川上流ダム群の貯水量が低下していることから、平成24年9月11日9時をもって警戒体制から緊急体制(非常体制)に移行しました。 関東地方整備局においては、引き続き、気象状況に応じたきめ細かなダム運用を行っていきますが、日常生活においても限りある水資源の有効活用に努め、節水にご協力をお願いいたします。国土交通省関東地方整備局 災害情報より
9/1 矢木沢ダムの代わりに利水補給のため放流している下久保ダム |
ひとまず、利根川上流8ダムの状況を見てみましょう。
下記の表は国交省関東地方整備局のWEBサイトより拝借しています。
ダ ム 名 | 有効容量 (万m3) | 貯 水 量 (万m3) | 貯 水 率 (%) | 前日補給量 (万m3/日) | 平 年 比 (%) |
---|---|---|---|---|---|
矢木沢ダム | 11,550 | 699 | 6 | -19 | 10 |
奈良俣ダム | 7,200 | 2,733 | 38 | 102 | 49 |
藤原ダム | 1,469 | 1,350 | 92 | -13 | 108 |
相俣ダム | 1,060 | 311 | 29 | -10 | 40 |
薗原ダム | 300 | 199 | 66 | 5 | 91 |
下久保ダム | 8,500 | 5,612 | 66 | 126 | 83 |
草木ダム | 3,050 | 1,070 | 35 | 32 | 41 |
渡良瀬貯水池 | 1,220 | 1,131 | 93 | 4 | 97 |
8ダム合計 | 34,349 | 13,105 | 38 | 227 | 52 |
平成24年9月11日0時現在 |
細かく見てみると、有効貯水量が一番大きな矢木沢ダムが貯水率6%。
9/1から上水道と農業用水の取水制限が実施されている、群馬県のみどり市・太田市・桐生市(各リンクは取水制限の案内)へ、上水道の補給をしている草木ダムは貯水率35%。
矢木沢ダムの次に有効貯水量が多い下久保ダムは貯水率66%、奈良俣ダムは38%。
こんなに貯水率が減っている事はなかなかありません。
都市では毎日膨大な量の水を必要としていますが、日常生活では気づかない所でダムが水を蓄え計画的に放流し安定供給されています。
次に、荒川水系と多摩川水系の貯水率を見てみます。
こちらは東京都水道局のWEBサイトより拝借しました。
ダム名 | 貯水容量(万) | 貯水量 (万) | 貯水率 (%) | 前日増減 (万) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
浦山ダム |
| 1,999.2 | 61 | -20.1 | |||
荒川貯水池 |
| 764.5 | 101 | 0.0 | |||
滝沢ダム |
| 1,465.8 | 59 | -29.4 | |||
二瀬ダム | 0~1,600( 2,000) | 97.4 | 74 | -0.4 | |||
以上合計 | 6,560~8,160(14,420) | 4,326.9 | 65 | -49.9 | |||
前年同日量 | 6,720.9 | 100 | ― | ||||
前々年同日量 | ― | ― | ― |
ダム名 | 貯水容量(万) | 貯水量 (万) | 貯水率 (%) | 前日増減 (万) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
小河内貯水池 |
| 15,159.2 | 82 | -37.9 | |||
村山・山口貯水池 |
| 2,640.0 | 81 | 11.1 | |||
以上合計 |
| 17,799.2 | 82 | -26.8 | |||
前年同日量 | 18,999.3 | 87 | ― | ||||
前々年同日量 | 16,637.8 | 76 | ― |
荒川水系は前年同日量比の貯水率100%で、ほぼ通常通り。
多摩川水系は前年同日量比の貯水率87%ですが、現在の利根川上流8ダム合計よりも多い貯水量があります。
ただし、小河内ダムの水はなかなか使いません。「こんなこともあろうかと」という状況まで使わないかもしれません。下記に「多摩川誌 3.3.2 小河内ダムの新しい機能」から一部抜粋します。
このような施設ができたので,小河内ダムは従来からの給水に対してはもちろんのこと,利根川の流量にいったん緩急あれば一時的とはいえ,ピンチヒッターとしての役割も持つこととなり,東京都民に対する給水の安定化に当たって,またまた重要な使命を担うことになったのである.仮に、小河内ダムの水を使い取水制限を解除出来たしましょう。
もしそれで、秋雨前線でまとまった雨が降らずダムの貯水率が回復しなかった場合は、冬季に長い長い取水制限や、最悪「断水」になる可能性があります。
水は限られた資源です。
東京都の場合は、都内で供給する水の7割が一般家庭で使われています。
各家庭で節水をすれば水不足の状況にとても大きな効果が期待できますので、無駄な消費はせず最小限の使用を心がけましょう。
節水の方法は↓を参考にどうぞ!