2012/09/14

ちょいと石淵ダムへ行ってきた。

  • 北上川水系/胆沢川/岩手県
  • 形式:ロックフィルダム(コンクリート表面遮水型ロックフィルダム・CFRD)
  • 堤高:53m
  • 堤頂長:345m
  • ダム湖名:石淵湖
  • 用途:洪水調節/かんがい用水/発電
  • 着工:1945年/竣工:1953年
日本で最初に着工されたロックフィルダムの石淵ダムへ行って来ました。

石淵ダムは洪水調節とかんがい用水と発電の3つの目的で貯水していますが、貯水容量が小さいため、洪水調節操作の多さとかんがい用水の不足から、下流に胆沢ダムを建設しダム湖の底に沈む運命にあります

石淵ダム

訪問は2012年の正月で、写真を見ての通り雪深い中、遠いので最後の訪問になるだろうなーと思いつつ行って来ました。
まだ、ダムとしての機能は生きていて管理されているので、道はしっかりと除雪されていました。車で管理所前まで向います。





















管理所の看板には正月飾りがありました。これが石淵ダムが迎える最後の正月です。




下流直下にかかる橋。


地震でやられてしまい、もう渡ることは出来ませんでした。





左岸の崖の上にはこんな看板が。


下流に建設中の胆沢ダムの常時満水位の高さがあそこになるそうです。



もちろん、石淵ダムの遥か上



石淵ダム左岸の道路に、石淵ダムの看板がありました。
奥に見えるダム白い壁が、下流に建設中の胆沢ダム



ダムから上流を望むと、綺麗な雪景色がありました。写っている橋がダム湖に沈む旧道の付替道路。


付替道路まで行けるかと奥へ進むと、残念ながら冬季通行止めで行けませんでした。


もう奥から石淵ダムを眺めるチャンスは、僕には無いかもしれません(´・ω・`)



石淵ダムの堤体を左岸上流側から。この石淵ダムは・・・

コンクリート表面遮水型ロックフィルダム
"Concrete Face Rockfill Dam”
通称”CFRD"

というタイプで、形式はロックフィルダムですが上流面はコンクリートで覆われていて水を堰き止めています

初期のロックフィルダム(皆瀬ダム・小渕防災溜池・野反ダム等)に多く、漏水の問題等もあったようで、しばらくの間はあまり造られていませんでした。ただ、最近になって問題を克服し栃木県に建設計画のある南摩ダムで採用されるかもしれません。



極寒で凍りついた堤体が、太陽の光でキラキラ光っていたのが印象的でした。この写真、日本ダム協会のフォトコンに応募して何も引っかからなかったやつ。



こちらが洪水吐。堤体の脇についていて、6門のゲートがありますけど、真ん中2門はオリフィスゲートで、左右の水色のゲート4門がクレストゲートです。


日本で始めてオリフィスゲートが付けられたダムらしいです。






雪を被る天端。よく見ると大分うねってますが、これは2度の大地震の影響です。

1つ目は、2008年の岩手・宮城内陸地震。
震央と石淵ダムは約9.4km。地震の大きさを表すマグニチュードはM7.2。
石淵ダム地点で震度6強の揺れを観測。

2つ目は、2011年の東日本大震災。
石淵ダム地点で震度5強の揺れを観測。

2度の地震で、亀裂が入ったり歪んだりしていますが、調査の結果安全性には問題無いとの事で補修程度で済んでいるそうな。日本で最初に作られたロックフィルダムは2度の大地震を受け完成から59年経っても、ダムとしての機能を失わなかったわけだ。凄いな。うん。

→は天端から通路でつながっている謎の設備。
これ何でしょう?取水設備に見えるけど、かなり古い上に使われているようには見えない。うーん、謎だ。今度聞いてみよう。


















↑も取水設備に見えるけど、どこへ行っているのだろうか。うーん、これも確認しなきゃ。

洪水吐正面
しばらく放流していないためか、導流部は一面真っ白。
中央のオリフィスゲートはローラーゲートで、左右のクレストゲートはラジアルゲートですね。


ちなみに、撮影している場所はこの写真の、一番手前の橋から。


この橋は岩手・宮城内陸地震の時に奥の古い橋が壊れて通行止めになったために、架設されたもの。


古い橋を渡ってみたかったな。出来れば、あそこから放流する姿を見てみたかった。




洪水吐直下の橋から洪水吐を望む。クレストゲートとオリフィスゲートの高さの違いがよく分かる。



堤体はこの通り真っ白。



もうどこに何があるなんて分かりゃしない!





帰り道
冒頭にも書きましたけど、石淵ダムは2012年の9月一杯で役目を終えてしまうので今後見学する事なんて出来ません。冬以外にも来るべきだったなぁ。