2018/06/25

ちょいと下久保ダム点検放流2018へ行ってきた。 #下久保点検2018

今回は2018年6月24日に開催されました下久保ダムの点検放流へ行ってきました。
下久保ダムの点検放流は、機側操作でゲートが問題なく稼働するか確認して、ついでに放流もやろうというわけです。
出典:下久保ダム管理事務所WEBサイト

ちょっとレアな放流

出典:第24回関東地方ダム等管理フォローアップ委員会 下久保ダム定期報告書の概要
上のグラフは近年の下久保ダムの水位変化です。意外と満水まで貯まることがありません。同じ利根川水系の矢木沢ダムや奈良俣ダムでは雪解け水で春に満水になるのですが、下久保ダムがある神流川の流域ではあまり雪解け水が期待出来ません。また4月末~5月初め頃から稲作で水を使い出すので放流量が増えて水位が下がっていきます。
つまり、前年秋冬で満水近くまで貯水して、冬に水位を維持出来て、4~6月にそれなりに雨が降って水位が下がらなければ点検放流は出来ないわけです。これはハードルが高く、実際に昨年は放流しない点検のみになってしまいました。
ちなみに現在建設中の八ッ場ダムが完成すれば、今よりは水に余裕が出来ますから毎年開催も夢じゃなくなるはず。

機側操作での点検

機側操作盤
機側操作とは機器の近くで行う操作の事。
通常、ゲート開閉の操作は管理所から遠隔で行いますが何かのトラブルで管理所からの遠隔操作ができなくなった場合は、ゲート近くにある機側操作盤を直接操作してゲートの開閉を操作する事になります。これが機側操作ですが、万が一機側操作でもゲートが正常に開閉出来ないと大事故につながります。そのため機側操作による点検を行うわけです。

水が無駄にならないのか

出典:利根川ダム統合管理事務所WEBサイト
下久保ダムでは制限水位方式という貯水池運用を行っています。
これは大雨が降る事が多い洪水期(7/1~9/30)は夏期制限水位を満水として運用します。そのため貯水池が満水であっても7/1までには水位を落とさなければなりません。この水位低下をドローダウンといいますが、ドローダウンのついでに放流をしています。


前置きはここまでにして。

三波石峡

三波石峡
三波石峡駐車場へ6時半頃到着し、時間があるため三波石峡の散策。三波石峡は国の名勝・天然記念物にも指定されている渓谷で、三波石の巨岩や奇岩を見ることが出来ます。
ちなみにこの時の流量は約16㎥/s。16㎥/sという事は神流川への用水補給と利根川本流への用水補給を行っていますね。


下久保ダムへ


下久保ダムへ向かうとすでに常用洪水吐のオリフィスゲートから放流していました。
下久保ダムにある下久保発電所と下久保第二発電所の使用水量は最大で12㎥/sと0.323㎥/sですので合計12.323㎥/s以上の放流をしていたら、堤体中腹にある利水バルブかオリフィスゲートから放流をしている事になります。用水補給ですので本来なら利水バルブからの放流をするところですが、貯水池の水深が浅く温かい水を放流するためにオリフィスゲートから放流しているのでしょう。この時期に下流へ冷たい水を流すと鮎が冷水病になったり稲作に悪影響が出るかもしれないためです。

物販と抽選会


見ての通り大賑わいで大混雑。物販での購入金額300円につき抽選券1枚がもらえ、抽選の上景品がもらえるというもの。僕の知り合いには40回枚の抽選券を持っている人もいたりしてかなりの熱気があった模様。

点検放流開始

オリフィス1号ゲート放流開始

クレスト1号ゲート放流開始

クレスト2号ゲート放流開始

4門放流直後
柵の手前まで人集りで近づけない感じでした。これまでの点検放流よりさらに混んでた。点検放流を報じた新聞記事では「来場者は歓声を上げた」とか書かれていますが、放流の音にかき消されてほとんど聞こえません。それだけ音も迫力も凄かった。

放流見学は粘る


前日までは天気予報は曇りで4門放流直後はやはり曇り空でした。が、11時過ぎには日差しも青空も出てきました。曇りと日差しがあるのとでは、見た目の印象も違います。気象庁の衛星画像等をチェックして晴れ間が出そうなら少し粘ってみると良いです。




その他の見どころ

フラッシュ放流


下久保ダムの直下ではフラッシュ放流も行われていました。
フラッシュ放流は↓の通り。
川を流れる水の量の変化が少ない状態が長い時間続くと「よどみ」が発生し、河床(川底)に藻類の繁殖や汚れなどがついたままとなったりします。 これは、環境·景観に対して好ましくありません。 ダムで貯めている水を定期的に放流することによって、 “よどみ” の発生を抑え河川をリフレッシュする効果があります。出典:最上川ダム統合管理事務所WEBサイト
写真を見ると、右側に積まれた土砂が川へ流出しているのがわかるでしょうか。川の右側は土砂が混ざって濁流になっています。人工的に洪水のような状態に土砂を混ぜた濁流を流す事で、川砂利について古い苔を剥がしたりして川をリフレッシュさせています。

跳水現象

←ダムから放流された水 減勢池→
跳水とは開水路流で射流から常流へ変化し流速が減少して水深が増大する現象の事です。


専門用語でさっぱり分かりませんね。勢いよく流れてきた水が減勢池に入って水の勢いを殺しているわけです。じっくり見てみると減勢池の水が放流に逆らって逆流しているところが見れます。実は自宅のシンクに水道から水を流せば簡単に見られたりしますが、ダムくらいの大規模なものを安全に見られるのは良い機会です。



上の写真に書いた水の流れを意識して動画を見てみるとわかりやすいかも。

締めはかどっこラーメンで


というわけで、12時過ぎには放流見学から離脱し、下久保ダムすぐ近くにある道の駅上州おにしで下久保ダムの堤体をイメージした「かどっこラーメン」で空腹を満たしました。あっさり醤油のスープにちぢれ麺、豆腐の堤体で貯水池はカレー。醤油ラーメンにカレーの組み合わせが案外イケます。

下久保ダム点検放流の辛いところ

日陰がない


下久保ダム点検放流で1つ問題を挙げるとすれば日陰がほとんど無い事。日差しが出てくるとジリジリ焼かれて体力も水分も奪われていきます。今年はまだそんなに暑くなかった印象ですが、もしもっと気温が上がっていたら熱中症で倒れる人が出てきてもおかしくなさそう。実際、翌日の6/25は30度オーバーの猛暑日になっています。当日が猛暑日でなくて本当に良かった。

駐車場問題


駐車場はいくつか用意があるものの、来場者数に対しては少なすぎる。実際、7時過ぎには一番大きな駐車場120台分が満車になり入りきれない車が彷徨っていたりする。そのため狭い道に大量の歩行者と車が通行しているので事故が怖いかな。ダムは山間部にあるので広い駐車場の確保は難しいのでもう少し改善して欲しいところ。

最後に

関係者・来場者の皆様、お疲れ様でした。
特に水資源機構の職員さんたちは休日出勤で本当にお疲れ様でした。前回の放流しない点検で1,200人にも驚きましたけど、今回は来場者数3,600人で記録更新。今、日本で一番のダムアミューズメントである事は間違いないと思います。この勢いのまま継続して、もっとダム見学が広まっていって欲しいですね。